実際の事例から見る高齢者の感染症

 高齢者が感染症に感染する際の感染経路や広がり方は、感染後の対応によってさまざまです。

 例として有料老人ホームでの新型コロナウイルスへの感染事例を挙げると、まず施設の利用者である高齢者2名と介護職員1名が発症しました。
この施設は個人は個室で生活していましたが、食堂となる大部屋を取り囲むような形で個室が配置されているため、固執からの移動は食堂を通ることになります。
そのような状態で認知症の感染者が勝手に出歩いてしまうなど、完全に隔離するなどの対応が難しかったことや、換気もしっかりと行えずマスクの着用も徹底されていなかったため、感染が広がってしまいました。
介護職員にも感染が広がってしまったことから職員不足に陥ってしまい、介護業務にも支障が出る結果となりました。

 他にも、高齢者福祉施設で感染症を発症し、その入居者を受け入れた病院でも集団感染が生じてしまった事例もあります。
高齢者福祉施設Aの特定の階で嘔吐と下痢の症状の利用者が多発し、次第に他の階でも同様の症状の利用者が増え、その数は利用者と職員を合わせて100人以上となりました。
検便の結果、ノロウイルスによるものだと判明し、病院Bへ数人が入院したのですが、すると今度はBでもノロウイルスによる嘔吐や下痢の症状の患者が増えて50人以上にもなりました。
更にその後、Aに隣接する高齢者福祉施設Cでも同様に、嘔吐と下痢の症状の利用者が多数出たため、検査した結果こちらもノロウイルスだと判明します。
Cの入居者が別の病気でBに入院しており、退院してきてから感染が広がったことから、この入居者が発端となったという可能性も考えられました。